※多少、ネタバレありです。
Breaking Badの後日談が、NETFLIXで映画になって公開された。
Breaking Badとは、2008年から始まったアメリカのテレビドラマシリーズで、シーズン5で完璧なラストを迎えた。
いわゆる海外ドラマというジャンルだが、海外ドラマの主流といえば、1話完結物だった。例をあげると、「クリミナル・マインド」、「ボーンズ」などだ。もちろん、これらドラマは素晴らしいのだが、一つ大きな欠点があった。
それは、人気が出ると「長期化」することだ。これは、どんなドラマも駄作に貶める、最悪な流れだと思う。
だが、Breaking Badはなんの蛇足もなく、シーズン5で完璧な終わりを迎えた。だが、完璧すぎて、この「エルカミーノ」でBreaking Badが映画化されると聞いて、拒絶反応を起こした人もいるかもしれない。
しかし、自分は傑作に違いないと信じていた。それは、スピンオフにあたる「ベター・コール・ソウル」を見ているからだ。
「スピンオフは成功しない」と勝手な法則を持っていた自分だが、このベターコールソウルにいたっては例外だった。Breaking Badのクオリティーを保ったまま、圧倒的に面白い。このベターコールソウルで、エルカミーノに関しても見る前から「絶対に面白いはずだ」と確信していた。
エルカミーノは、限られた人だけが見ることを許された傑作だ
少し前置きが長くなったが、結論を先に。
「エルカミーノはおもしろいのか?」と人に聞かれたら、自分はこう答える。
あなたは、Breaking Badをシーズンファイナルまですべて見ましたか?
すべて見たなら大丈夫です。安心して見てください。傑作です。
エルカミーノは、Breaking Badの後日談だ。しかも、Breaking Bad本編で語られていない過去の話や、Breaking Badの登場人物が出てくる。そのため、Breaking Badの内容が頭に入ってないと、色々楽しめない。
Breaking Badを見たことがなく、いきなりこのエルカミーノから見ると、ストーリーは意味不明だろう。だからこそ、「エルカミーノは、ファンムービーだ」と言われているが、少なくとも自分は「いや、これが見たかった」と言いたい。
また、全体的に非常に暗い。ジェシーはトッドたちに監禁されていたトラウマに苦しめられ、心に更なる傷をおってしまっている。そもそもが、見る人を選ぶ映画だ。
だが、そこはBreaking Badクオリティ。終始暗いままではなく、時にポップに、テンポよく進むため、没頭して見れてしまう。
そして、やはり本作を傑作たらしめているのが、主演のアーロン・ポールの存在が大きい。Breaking Badのシーズン1のジェシーとは完全に別人で、色々なことが自分に起きたからこその変化を、完璧に演じきっている。Breaking Bad後半の情緒不安定な状態が、さらに悪化しつつも、人としての凄みが感じられるのが、エルカミーノのジェシー・ピンクマンだ。
ただ、少しダメ?というか、気になったことが一つ。
エルカミーノでは、過去のシーンがたびたび登場する。Breaking Badでは語られていないシーンだ。例でいうと、ジェシーが監禁されているとき、実はトッドとこんなことが起こっていたみたいなシーンが多く出てきた。
それらエピソードはどれも最高だが、そこに出てくるトッドが当時と違って、かなり太っている。(Breaking Bad当時のトッドは細身だった)
過去の話のはずなのに、トッドは年齢からくる体重の変化なのか、見た目がかなり違っていた。これは、他のシーンでも度々見られ、その度に気になってしまった。
Breaking Badの終了から6年近くたっているからこれは仕方がないのだが。。
と、最後は少しだけ気になる点をあげたが、エルカミーノはまさに傑作です。面白いドラマは、映画になっても面白い。激しくおすすめです。